2011年 3月 5日
1998年に発売しましたBRC-250は、特殊な性格のアストログラフにもかかわらず十年以上に渡り多くのユーザー様に支持され、銀塩の大判カメラから冷却CCD、デジタル一眼レフカメラと撮像素子が変化する中で、先の時代を見据えた光学設計が功を奏し、それぞれの時代に対応できた光学系でした。
しかしデジタル化の波は十年前よりさらに進み、現在では大判の銀塩カメラは絶滅し、代わりに大型の冷却CCDカメラがマニアの主流になっています。BRC-250の後継にあたる光学系を考察し、デジタル時代のアストログラフの理想像を追及した結果、完成したのがCCA-250です。 |
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BRC-250は、主鏡、副鏡ともに球面から大きくはずれた双曲面に近い非球面に研磨しなければならないので、設計通りに製作することは大変難しい作業でした。
CCA-250では、主鏡が放物面、副鏡を球面という研磨しやすい面にする事で、設計通りの製作が容易になり、星像のアス変形が無く収差が補正された星像が得られます。
この光学デザインは、純正のリッチー・クレチアンではなくて、改良型の準リッチー・クレチアンから発展させたオリジナルのデザインですが、主鏡、副鏡を同一Rにしてペッツバール和をゼロにし、3枚の補正レンズで完全にフラットフィールドにするというBRCの原理を踏襲しています。
補正レンズは、パワーの無いフラットナーなので色収差の影響はほとんどありません。 |
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形式 | コレクテッド・カセグレン・アストロカメラ | 有効口径 | 250mm | 焦点距離 | 1250mm | 口径比 | 1: 5.0 | メタルバック | 193.9mm | 鏡筒径 | 306mm | 鏡筒全長 | 870mm | 質量 | 22.8kg (アリミゾ含む) | ファインダー | 7倍50mm (照明ユニット付) | 使用電源 | DC12V 0.75A |
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直焦点(f/5)の光学性能は、イメージサークルこそ前モデルのBRC-250の100mmから88mmになったものの、デジタル撮影で重要な50mmまでのSPOTサイズは6ミクロン以下とBRC-250を凌駕する性能です。最小星像は最周辺の88mmでも10ミクロン以下であり、今後67サイズのCCDカメラが登場しても問題なく対応できます。 |
| | 副鏡の後ろ側にピント調整用のステッピングモーターを組み込んだタカハシ Active Focuser システムで、ピント合わせを電動でおこないます。
このシステムにより、デジタル機器のオートフォーカスが可能になりました。 |
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| | ドライブユニットを鏡筒に組み込んだことで、煩雑になるケーブルの数を減らしています。ドライブユニットからは、手動のピント調整、ファンのON、OFFの設定ができます。
オートフォーカス機能を使う時は、パソコンとUSBケーブルでつなぎ、付属のコントロールソフト Focus Infinity からコントロールします。 ASCOM対応のドライバーも用意していますので、 FocusMax や MaxIm DL などからのコントロールも可能です。
動作させるには、DC12Vの電源が必要です。 |
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| | 主鏡周辺、鏡筒内部、外気の温度をセンサーで計測し、各部の温度差が大きいときは、早く外気温となじむように3個の吸気ファンが外気を主鏡に導きます。
ON、OFFの動作設定は、Focus Infinityから設定でき、設定した条件で3個のファンを制御をします。ドライブユニットのボタン操作でもファンをON、OFFできます。
吸気ファンは、撮影の妨げにならないように低振動ファンを使用しています。 |
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| | 鏡筒は、軽量で熱膨張がほとんど無い国産カーボンチューブを使用しています。
赤道儀への搭載は鏡筒バンド方式ではなく、新設計のアリガタ・アリミゾ式です。 |
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| | マシニング加工による肉抜きで、軽量化を図っています。 |
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| | 付属のコントロールアプリケーション「Focus Infinity」のオートフォーカス機能により、パソコンからの操作で撮影機器のピント合わせが自動でできます。ドライブユニットとパソコンをUSBケーブルでつなぎ、カメラからの画像をキャプチャーし、最適なピント位置を探します。
ピント合わせのほかにも、ファンのコントロール、3カ所のプリセット位置の設定などの便利機能が手元のパソコンで操作できます。
※Windows用のみ |
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CCA-250の光学系の大きな特徴はコンバージョンレンズが使用できるようになったことです。
BRC-250は直焦点の撮影だけでしたが、CCA-250はレデューサーとエクステンダーが使用できます。
レデューサーは、ミューロンCRS用のレデューサーCR0.73Xが使用できます。エクステンダーはミューロンCRS用のエクステンダーCR1.5Xが対応しています。ただし、これらのコンバージョンレンズはレンズ径が小さいためイメージサークルも小さくなります。そこで、これからは大きなイメージサークルを持ったシャープな光学系が要求されることを見越して、専用設計の645レデューサーCA0.72Xの発売を計画しています。これを使うとf/3.6まで明るくなるにもかかわらず、60mmのイメージサークル全域で10ミクロン以下の星像を結びます。
このように、CCA-250は910mm(f/3.6)、1250mm(f/5.0)、1880mm(f/7.5)と三種類の焦点距離を使い分けられます。しかもシャープな星像のまま大きなイメージサークルを確保している光学系は世界でも類を見ないと思います。リアコンバージョンレンズの付け替えは簡単で、撮影対象によって焦点距離を切り替えて撮像することが可能です。 レデューサーCR0.73×[KA82580] 使用時 | 焦点距離 | 910mm | 口径比 | 1: 3.6 | イメージサークル | φ38mm |
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エクステンダーCR1.5×[KA82595] 使用時 | 焦点距離 | 1880mm | 口径比 | 1: 7.5 | イメージサークル | φ40mm |
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645レデューサーCA0.72×(発売予定品) 使用時 | 焦点距離 | 890mm | 口径比 | 1: 3.6 | イメージサークル | φ60mm |
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>> CCA-250の作例 |
価格(税込) | CCA-250鏡筒 | ¥1,428,000 | | レデューサーCR0.73× | ¥60,900 | | エクステンダーCR1.5× | ¥39,900 | 発売予定日 | | |
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